sxy3のブログ

思ってることを吐き出す場。ペッ

寝つきのよくない話

すんなり眠ることができなくなったのは、4年ほど前からだと思う。
その頃、上京して、知らない人に次々出会い、毎日違う時間割の中で過ごしていて、そのランダムな環境が負担になっていた。ある人との関係で決定的に行き詰まった。住んでいたマンションが改装工事に入り、部屋の窓が覆われてしまった。そういうことの積み重ねで、じわじわと眠れなくなっていった。
 
元々寝つきはよい方ではなかった。夜になるとよくわからない高揚感があって、面白いことをたくさん思いつけそうな感じがした。昼間の生活はずっとぼんやりしんどくて、夜の方が生きているような気がしていた。夜、真っ暗になると、ようやく誰にも邪魔されないでいられると思っていた。はっきり意識していたわけではなく、なんとなく夜の方が楽だという程度の認識だったが。
 
眠れないままカーテンの脇から漏れる青白い光を見る。光の筋が壁紙に伸びる。夜の方もこのまま伸びる。このまま、車の走る音だけが聞こえる、夜が続いて、わたしの時間が続く。すすんで錯覚したいと思う。
 
夜は聖域だ。布団の中のわたしには名前がなく、何者でもない。役割がなく、義務がなく、明るい世界では小さな子供ですらそれらに縛られているというのに、夜のわたしは屍のようにただあるだけだ。
 
狭間の時間を手放せないまま、屍を引きずって生きている。